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2016.12.07
学会発表・論文投稿における統計解析の注意点

学会発表・論文投稿向けに統計解析を行う際に注意すべき点を下記にまとめてみました。参考にして頂ければ幸いです。

(1)まず統計解析の目的(仮説)を明確にすること。

(2)その目的(仮説)の検証のための適切な統計手法を選択すること。

(3) 選択した統計手法が正しく実施されること。

(4)正しい統計処理であっても、目的から外れていないこと。

(5)同じデータでも、目的(仮説)の検証に応じた手法や解析が必要であること。

(6)説明不足は論文投稿の最大の敵と心得て、解析の目的と選択した統計手法の適合性を明確に説明すること。

(7)そのためには、Statistical Analysisの項をケチらずに十分に記載すること。すなわち、図表や脚注の中で統計手法に言及するのではなく、Statistical Analysisの項に正確かつ十分に記載すること。

(8)統計的な有意水準(通常は5%)であるが、明確に記載しておくこと。また、両側検定か片側検定かも明記すること。

(9)出来る限り統計の専門家の支援を受けること。特にインパクトファクターの高いジャーナルに投稿する場合は不可欠な要素。

(10)何よりレビュワーに理解してもらうこと。すなわちこれは読者に理解してもらうことと同じこと。

(11)ケアレスミスやスペルミスに注意すること。査読の印象が非常に悪くなる。

(12)数値を記載する場合に、有効桁数に注意すること。すなわち、必要以上に細かい測定値の記載はしないこと。

(13)解析に用いた統計ソフト名およびバージョンを記載しておくこと。

(14)検定を繰り返す行為や複数の検定を行うことに注意すること。すなわち、検定回数は出来る限り少なくすることを心がけ、複数回行う場合は多重比較の概念を取り入れた解析を行うこと。

(15)”統計的有意差”と”臨床的有意差(重要性)”を明確に区別すること。

(16)データが歪んだ分布(対称的にならない)を示す場合や比較する群間でデータの分散(バラツキ)が大きく異なる場合には特に注意すること。

(17)このような場合には、検定の前に何らかの変数変換を行って前提が満たされるようにしてから適切なパラメトリックな手法を用いるか、または代わりとなる適切なノンパラメトリックな手法を用いること。

(18) 用いた統計学用語、略語、記号は出来る限り定義を記載すること。

(19)臨床試験結果の解析ならば、症例数設計・症例数計算に言及すること。

(20)明確な理由や方法の説明を行わずに、連続データを順序カテゴリに変換することはしないこと。

 

 統計解析の一般的な手法は下記のように多数存在します。もちろんこれ以外にも、非常に多くの統計手法が存在し、統計解析にはそれらを正しく使いこなすことが極めて重要です。

  1. 1.   単純集計、クロス集計
  2. 2.    オッズ比、リスク比
  • 3.    ROC解析
  • 4.    重回帰分析
  • 5.    ロジスティック回帰分析:Logistic Regression
  • 6.    生存時間解析:Survival Analysis
  • 7.    ログランク検定:Log-rank Test
  • 8.    カプラン・マイヤー法作図:Kaplan-Meier Method
  • 9.    Cox比例ハザードモデル:Cox Proportional Hazard Model
  • 10.  多変量解析(判別分析、主成分分析、因子分析、数量化理論、正準相関分析等)
  • 11.  プロビット分析:Probit Analysis
  • 12.  ロジット対数線型分析:Logit Loglinear Model Analysis
  • 13.  クラスター分析:Clustering Analysis
  • 14.  一般化線形モデル、一般化線形混合モデル、非線型回帰分析
  • 15.  母平均の検定と推定、母分散の検定と推定、母標準偏差の推定
  • 16.  2つの分散の差に関する検定、2つの平均値の差に関する検定、2つの母比率の差に関する検定
  • 17.  一元配置分散分析:One-way ANOVA、二元配置分散分析:Two-way ANOVA
  • 18.  パワーアナリシス(検出力):Power Analysis
  • 19.  t検定:t-test、ウェルチ検定:Welch Test
  • 20.  リーベン検定:Levene Test、F検定:F-test
  • 21.  カイ2乗検定(χ二乗検定):Chi-square Test
  • 22.  2項検定:Binomial Test
  • 23.  マン・ホイットニー検定(U検定):Mann–Whitney U Test
  • 24.  コクラン・アーミテージ検定:Cochran-Armitage Test
  • 25.  ウィルコクソンの順位和検定:Wilcoxon Rank Sum Test
  • 26.  ウィルコクソンの符合順位和検定:Wilcoxon Signed Rank Test
  • 27.  マクネマー検定:McNemar Test
  • 28.  クラスカル・ウォリス検定:Kruskal-Wallis Test
  • 29.  フリードマン検定:Friedman Test
  • 30.  コルモゴロフ・スミルノフ検定:Kolmogorov-Smirnov Test
  • 31.  フィッシャーの正確確率検定:Fisher Exact Test
  • 32.  尤度比検定:Likelihood-ratio Test
  • 33.  マンテル・ヘンツェル検定: Mantel-Haenszel Test
  • 34.  L×M分割表の検定
  • 35.  AICの独立性判定
  • 36.  コクランのQ検定:Cochran’s Q test
  • 37.  ワルド検定:Wald Test
  • 38.  ヨンキーの傾向性検定:Jonckheere Trend Test
  • 39.  スミルノフ・グラッブス検定:Smirnov‐Grubbs Test
  • 40.  相関分析、相関解析、偏相関分析、順位相関(Kendall、Spearman)
  • 41.  多重比較:Multiple Comparison、多重検定:Multiple Test
  • 42.  テューキー検定:Tukey Test
  • 43.  ダネット検定:Dunnett Test
  • 44.  ボンフェローニ検定:Bonferroni
  • 45.  シェッフェ検定:Schefe Test
  • 46.  スティール・ドゥワス検定:Steel-Dwass Test
  • 47.  スティール検定:Steel Test
  • 48.  正規性の検定、シャピロ・ウィルク検定:Shapiro-Wilk Test
  • 49.  クロスバリデーション:Cross Validation
  • その他、多数

株式会社日本統計技術研究所は皆さま方の学会発表・論文投稿を統計学的側面から強力にサポートしておりますので、是非お気軽にご相談ください。